大切なあなたへ
3・運命の扉
”運命は自分で切り開くもの”
志穂の頭の中で、そんな言葉が浮かび上がる。
そして、志穂はある行動を起こす。
土曜日、仕事を終え家に帰った志穂は、怖い顔で鏡の前に座っていた。
『さぁー、志穂。
勇気を出して、あの店に一人で行くの。
気になっているあの人に逢いに行くの。
先のことなんて考えなくていいの。
自分が思ったままに生きればいい』
志穂の知らない、もう一人の自分がそこには居た。
黙々と出掛ける用意をしていた志穂。
この日の志穂は、やはりいつもとは違う。
自分で気がつかないうちに、メイクまでいつもと違い、
濃く、派手なメイク。
メイクが終わり、志穂は鏡に映る自分の顔をジッと見つめる。