脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
カギのありかはどこ?

「これがエレベーターだね」


廊下の端っこに設置された、閉じられた白いドアの前で私はつぶやいた。


豪華客船だけど、さすがにエレベーターはその辺のビルとかにもあるような一般的なタイプ。


「あぁ、そこのボタンを押せばエレベーターが来る。…というかそれよりも、腕離せよ」


廉が冷静そうに言うけど、その顔は少し赤らんでいるような…。


「えっ、あっ、ごめん」


お互いの手の温もりが離れて、なんとなく微妙な雰囲気になる。


な、なんか言わないと…。


「…えっーと、ボタンだよね」


「あ、あぁ。下へ降りる方だ」


カチリと、ボタンを押すとどこからかエレベーターが動く音が響いた。


「あっ、動いてる?」


「どうやら、これが正解だったみたいだな」


廉がそう言うと、エレベーターの到着音がして扉が開いた。


「だね。ロビーって何階なの?」



「ロビーは五階…って、なんだよこれ!」


先にエレベーターに入った廉が叫ぶ。


何ごと!?


慌てて私も中に入って廉の視線を追う。


そこには、ごく普通のエレベーターのボタンが…。


って、


「ボタンがない!?」


エレベーターのボタンがすべて押せないように取り除かれていた。


ただ一つを除いて。


「六階だけがある…」


「もしかしたら、ここに行くことが犯人の示す道なのかもな。それに六階のレストランにあるらせん階段からならロビーに降りれる」


そういえば、最初に案内してもらった時、大きならせん階段があったけ。


「おぉ!じゃ、早速六階に…!」


私はそう言って、六のエレベーターボタンをポチリと押した。

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