転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

15.初恋と野いちごジャム

 夕食の準備を手伝いながら無意識に鼻歌を唄っていた。
 姉のメリノはスーリアを不思議そうに眺めた。良く見ると口の端も持ち上がっている。

「スーリアったら、ずいぶんとご機嫌ね?」

 自分では気付いていなかったスーリアは、メリノに思わぬ指摘をされて両頬に熱が集まるのを感じた。

「機嫌いい? そうかな??」
「えぇ。すごくよさそうに見えるわ」

 どぎまぎしながら聞き返すスーリアに、メリノは鍋をかき混ぜながら微笑んだ。

「リジュのパン屋さんで売ってる花の売れ行きが凄くいいの。それで、花畑が大きくしたでしょ? 段々咲いてきたから嬉しくって」

 スーリアは夕食のサラダをドレッシングとかき混ぜながら、あかく色づいた両頬を見られないように俯いて答えた。サラダにはレタスにキュウリや人参、ラディッシュ、トマトなどが混ぜられて色とりどりで美しい。これらは全て自宅の農園で収穫したものだ。
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