転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

7.スーリアの花畑

 アルフォークは翌日、部下のスティフにあの不思議な花をくれた彼の婚約者の妹について尋ねた。
 スティフの話では、スーリアと言うその少女は元々一人でふらりと森に野いちごや木の実を取りに行くことが多かったらしく、あの日も一人で森に出かけてあの事件に遭遇したらしい。大怪我で九死に一生を得た後は森に行くのはぱったりとやめて、代わりに今は熱心に花を育てていると言う。

「おっとりとした、いい子ですよ。すっかり元気になったようです」
「それは良かった。たしか、以前に貰った花は彼女が育てたのものだと言っていたな?」
「はい。あの大怪我以降、園芸に目覚めたらしいです。婚約者の元を訪れると、スーリアは大抵庭で花の世話をしています」
「なるほど」

 アルフォークは考え込むように黙り込んだ。
 魔獣の攻撃をまともに受けたのに傷一つ無いという不思議な出来事が起きて、その時に持っていた異様に花持ちのよい切り花が灰になっていた。関係があるようにも思えるが、無関係な気もする。

「その子は聖魔術が使えたりするのか?」
「魔法? たしか、殆ど使えないはずですよ。魔法が必要な時はいつも魔力の隠った小道具を身に着けています。聖魔術なんてとても無理ですよ」

 スティフはハハッと笑った。
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