砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎
الفصل ٩⏳

一応、会社にはマーリク氏からの、

『これから着手する我々の新しいホテルの内装には、この地域の特性を反映して、砂漠の要素を加えたいと思っている』

という建築計画(プランニング)を受けて……

『君は自分の目で確かめなければならないのではないか?』

というマーリク氏の意向によって……

あたしは一週間の予定で「砂漠出張」を申請し、それは無事林室長によって認められたため、ここへは有給を使ってやってきたのではなく、しっかりと「出張扱い」になってはいるのだが……


——まさか「三日三晩」にわたる自分の「wedding(結婚式)」になるなんて。


「… Okay. Lazuli hasn't been harmed by them, has he?」
〈…じゃあ、ラジュリーは彼らから危害を加えられていないのね?〉

あたしは、彼女たちに改めて確認する。

「Yes, of course, ma'am(アキーラ).」
〈はい、もちろんです、奥様〉

ファティマさんがきっぱりと断言したあと、ワファーさんも深く肯いた。

「Actually, they are men from our tribe and it is blanks fired from their guns. They carry to take the bridegroom to their tent, and that's when our "ritual".」
〈実は、彼らは私たちの部族の男たちで、彼らの銃から放たれたのは空砲です。彼らが花婿を担いでテントへ連れて行くのが「儀式」の始まりなのです〉

ファティマさんが説明したあと、

「However, they came out of their tent unexpectedly fast, so we were in a hurry.」
〈ただ、彼らが思いの外テントから出てくるのが早かったので、焦ってしまいました〉

ワファーさんがそう言って首をすくめた。

「A bride should never be seen by other men, that's for sure.」
〈花嫁がほかの男たちに姿を見られるなんて、絶対にあってはならないことですから〉

イスラム教徒(ムスリム)の彼らにとって、よりによって結婚式に「自分の妻」をほかの男たちに見られるなんて、屈辱以外の何物でもないらしい。


——なるほど!

だから彼は、あたしの顔を見られないようにするために、『Don't look at me!〈こっちを見るな!〉』と言ってたんだ。

ワファーさんがあたしの前に立ちはだかり、ファティマさんが自身の黒装束(アバヤ)であたしを隠すようにしていたのも納得だ。

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