【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
第五章 暴君旦那様の優しい一面

第五章 暴君旦那様の優しい一面




桃菜がうちにやってきて一週間、今までとは生活が一変していく。
私と桃菜は家から一番近いボヤージュの支店にアルバイトとして配属される事になった。

お菓子屋さんで働くのは初めてだったけれど、可愛らしいスイーツに囲まれて接客するのは全然苦にはならなかった。 むしろ今まで事務の仕事しかした事がなかったから、接客は新鮮で楽しいものがあった。

基本は主婦のパートさんが働きに出ていたこじんまりとした店舗。
社員も男性と女性の一人ずつで、良い人達ばかりで直ぐに馴染んだ。

因みに勤務初日から我儘を言って自分勝手に振舞う桃菜はさっそくパートのおばちゃん達に嫌われた…。 ただたった一人の男性社員とはすごく仲良くなっていて、それが理由で女性には冷たい目で見られる事になる。

いつものことながら、変わり映えしない空気感に心配になる。


「でねー、伊織さん聞いて下さいよッ。ボヤージュの従業員さんすっごくムカつくの。特に女性のパートさん。
桃菜にばっかり仕事を押し付けて、意地悪ばかりするんだもんッ」

「へぇ、そうか。そんな社員いるのか。首にしようか?」

「いいんですかあー?さすがボヤージュの御曹司ッ。首にしちゃいましょうか。アハハ~」

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