優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第7話 お弁当作りと約束
定時で帰れたおかげで家事がスムーズに片付けることができた。
まだ壱哉(いちや)さんは仕事をしていた。
先に帰って、よかったのかな。
いたところで、何ができると言われたらそれまでなんだけど。
今日一日、壱哉さんが仕事をする姿を眺めていたけど、忙しそうだった。

「専務付き秘書……」

響きがかっこいい。
その言葉を反芻していると、無意識に洗濯バサミを外してしまい、洗濯ものを落としてしまった―――ため息を吐いた。
私にできるのかな。
ルンバのゴミを回収して、お風呂掃除をして洗濯物をたたんだ。
まだ誰も家族は帰ってきていないから、急いで夕飯を作らなくてもいいし。

「明日のお弁当、何にしようかな」

帰りに駅近くの雑貨屋さんに寄り、壱哉さん用のお弁当箱を買った。
シンプルな黒のお弁当箱にした。
秘書マニュアルには『役員の皆さんの好みを把握する』って書いてあったから、卵焼きは絶対にいれるとして……。
私が秘書だなんて、一日が終わった今でも信じられない。
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