それはきっと、甘い罠。
隣の席になった瞬間、本気で口説かれ始めるってありですか。





私のクラスには、軽率な男がいる。



鞍馬(くらま)~、キスして?」


「えー?バカだなお前、ここどこだと思ってんの?
 教室だぞきょ・う・し・つ。」


その軽率な男は、痛くない程度に女の子の額に軽くデコピンをした後
人差し指の第二間接を唇に当ててからかう様に笑った。



「女の子から誘われるのは、もちろん嫌いじゃないよー?俺」


「へへっ、知ってる~」


「でもこーいうのは、ふたりっきりの時の方が萌えんじゃん?」


「やだ、鞍馬ってば」


「だからふたりっきりの時に誘ってくれよな~。
 じゃんじゃん相手しちゃう、俺」



「ちょっ……!"じゃんじゃん"って、"どんどん"って意味じゃん!
 鞍馬が言うと、それって私だけじゃなくて他の子もにも言ってる様に聞こえんだけど!?」


「せ~かい!お前ってまじ天才」


「……最低」



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