スペシャル企画 儚く甘い 番外編追加しました
君をあきらめない ~永遠に続く愛を君に~
「京香」
後ろから呼ばれて振り返るとそこには海璃。
「なに?」
会社の廊下。誰もいないことを確かめて、私は少しだけ気を抜いて海璃に返事をする。
立ち止まっている時間がもったいないのにと内心、迷惑にすら思いながら海璃の言葉の続きを待つ。

「今夜は雨だから、傘、京香の机に置いといた。」
「え?」
「大丈夫だって。誰もいないときに置いといたから。」
「・・・ありがと。じゃあね。」
もしも雨が降らなかったらどうするのよと思いながら、私はもう一度前を見て歩き出す。
でも結構海璃の天気予報は当たる。

「あんまり遅くなるなよー。」
海璃の言葉に私は振り返りもせず、手をひらひらさせるだけで、足をとめない。

海璃と付き合ってから5年以上が経っている。
海璃は定時で仕事を終わらせる。ほとんど残業をすることはない。
なのに、成績は必死に仕事をしている私と変わらないのが納得がいかない。
私は朝早くから夜遅くまで仕事をしているのに・・・。
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