悪役令嬢の復讐マリアージュ
きゅうきゅう

「もうすぐ夏も終わりますねぇ。
という事は、結婚されてもう2ヶ月経つという事ですか。
早いものですねぇ」

「……そうね」
重松の言葉に同意しながら、その早さに切なくなる。
しかも契約結婚だから、夫婦関係に変化はない。

あるといえば……
最近はだいぶ楓くんにも、そのからかいにも慣れてきた。
だからといって、ドキドキや動揺をしないわけじゃない。
いちいちぎゃあぎゃあ騒いだり、やたらテンパったりしなくなっただけだ。

「お弁当作りも大分慣れたのではないですか?
初めの頃は絆創膏だらけで胸を痛めておりましたが、ご成長されたようでなによりです」

「なんかちょっと、バカにしてないっ?」

「とんでもないっ。
お嬢様の健気な愛情には、常々心を打たれておりますよ?
それよりっ、もうすぐ楓さまの誕生日ですね。
今年はお祝い出来るので、よかったですねぇ」

「うん、喜んでくれるといいな……」
といっても、直接祝うわけじゃない。

だって、私から祝われても不快なだけだろうし。
悪役の私がお祝いするわけにもいかない。
なにより、こっちが祝えば私の誕生日も祝わなきゃならなくなるから。
楓くんにそんな事してもらうわけにはいかなかった。
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