ほら、やっぱり愛してる . 〜 ヤクザの彼と私の物語 〜

誘拐



目が覚めた時には 手足を椅子に縛られ目隠しをされていた 。

「 っ、 」

何が起こっているのか分からない状況で涙なんかでなかった。ただただ、怖かった 。


〔 お、 ?おきたあ 〜? 〕


男の声と共に 数人の足音がこちらに向かってくる 。


〔 おい、殺していいんだっけ? 〕
〔 いやまだ、話聞いてねえだろ 〕


殺す 、、? 私を ?? … なんで ??


「 〜〜っ 、 」

視覚を奪われる恐怖 。 今すぐ死ぬかもしれない恐怖 。 なのに 涙は出ない。


〔 なあお嬢ちゃん 、昨日死んだ君の親父がかくしてるもの、何か知ってる ? 〕

一人の男が そう聞いてきた 。 …


「 … 昨、日 ?? 」


私の父は私が産まれる前に死んだはずだ。

ガシャン!
〔 もったいぶってねえで早く答えろ ! 、指輪はどこにある ? 〕

「 ひ 、っ!? 」

金属のものが激しい音を立てて 床に落ちた 音がした 。

私の父が隠した指輪? 顔も知らないのに?

分からない 分からない 分からない 、分かるはずがない 。


「 わ、分からな 、 っ … 」


〔 しらばっくれんじゃねえ! 殺すぞ 〕

どんどん近くなる男の声と 、 カチャ 、と音と共に 私の頭に突き付けられるもの 。

… 銃 。

「 !? …や、 やだ 、っ、 」


一気に体が硬直して 動かなくなった 。
指輪の在処を教えないと殺される ?
こんなバカげた話はないだろう 。



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