一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

７、いつだって甘く愛してる

「雪乃？」
仕事を終えて帰ると、自宅マンションの前に雪乃がいて驚いた。
六時過ぎにタクシーに乗って自宅に帰ったはず。
どうしてここにいるのか？
彼女が自分で俺の家に来るなんて初めてのことだ。
いつもは会社が終わると俺が強制連行して連れて来る。そうしないと彼女はうちに来ないからだ。
一緒に過ごすと距離は縮まるのに、離れるとまた普通の同期に戻ろうとする。
彼女と関係を持って一カ月経ったが、まだ恋人とは言えない微妙な関係。
どんなに甘い言葉を囁いても彼女には効果がない。
『私は怜に相応しくないもの』
そう言い訳して俺との間に壁を作る。
じっくり我慢強く彼女が俺に心を許すのを待つかない。
ライトに照らされたその顔は白くて生気がないように見えた。
明らかに様子がおかしい。
なにも言わずただじっと俺を見ている彼女に話しかけた。
「どうした？　なにかあった？」
「私……なんでもない。帰る」
か細い声で答えて右足を少し引きずりながらここから去ろうとする雪乃の手を掴んだ。