エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
一、私の前に現れた外交官
 ターコイズブルーの穏やかなペルシャ湾沿いに建つ、まるでアラビアンナイトのお城のようなドバイの五つ星ホテル。そこのフロント係として勤めている私、浅丘真佳奈。

 一昨日(おととい)の九月一日に二十六歳になった。年々、年を取るのが早く感じる。それは毎日が充実しているからだろうか。恋人などおらず、家と職場の往復だけの生活なんだけど。

 現在の太陽は真上。

 ランチを終えた私は海の色よりもさらに明るいブルーの制服を着て、楽しそうな宿泊客を見ながらフロントに戻る。

 髪形に関して就労規定はとくにないが、普段はブラウンの髪を後ろでひとつにまとめている。室内はエアコンで涼しい。でも一歩外へ出ると真夏のアラブ首長国連邦は体力を奪われるほどに暑い。

 ここは砂漠気候で六月から九月は真夏。観光シーズンはカラッとしている十月から四月がいいと言われている。それでも年間を通して、たくさんの日本人がドバイを訪れる。

 髪をひとつにまとめているのは、外に出た際に汗で髪の毛が首にまとわりつかないようにするため。それともうひとつの理由が。二十六歳なのに、ホテルの制服を着ないと学生に見られてしまうのもあって、大人っぽく見えるように気をつけているのだ。
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