暴君王子の恋の瞳に、私は映らない
嘘彼と初登校
○  ○  ○






次の日。


鞭光君が私のアパートまで

本当に迎えに来てくれた。



肩を並べ、一緒に高校へ向かう。



長い石段を降りきったタイミングで

私は、鞭光君に笑顔を向けた。





「むちみつ君のお姉さんに借りたワンピース。

 昨日クリーニングに出したから、
 月曜日にはお返しできそうって、伝えてくれる?」



「あのワンピ、
 オマエにやるって言ってたぞ。姉貴が」



「へっ? も…、もらえないよ。
 高級そうなブランド服なんて」



「あの服、2万って言ってたな」



「に、……2万……円?」


< 219 / 537 >

この作品をシェア

pagetop