ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
痩せているときも、太っているときも

 二日後。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 私たちはまた、駐車場で別れを告げる。

 初めての夜を無事に終えられて、心底ホッとした。

 私は進藤さんに釣り合わないんじゃないかとか、一緒にいると彼に恥ずかしい思いをさせるんじゃないかとか、そういった考えはまったく無駄だった。

 誰になんと言われようと、進藤さんがいいと言ってくれるなら、胸を張っていればいい。

 いつもより強い気持ちで出勤した私は、更衣室ですぐにくじけそうになった。

 例の、同じ列にロッカーがある福田さんを何歩か先に見つけてしまったからだ。

 まあ、ロッカーが近いし、お互い日勤だと出勤時間も同じなのだから、仕方ない。

 あのお店での一件などなにもなかったことにしよう。

 私はなにも見なかった、言わなかった。あそこにいた記憶もない、よし。

 心を決めて、彼女の脇を通って自分のロッカーの方へ歩く。

 ぱぱっと着替え、ナースシューズを履き、お弁当の入った袋だけを持ってその場から逃げるように去った。

 ほら、なんにも言われなかったじゃない。自分が思っているほど向こうは私に興味なんてないのよ。

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