怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
彼の仕事



 *

 翌日の月曜日は私と悠正さんが入籍をしてから初めての出勤日だった。

 悠正さんから所員の皆に結婚の報告があったのだけれど、こうして周知されると改めて悠正さんと夫婦になったのだと実感させられる。

 結婚報告のあとに所長の病気のことも伝えられた。先週末から入院をしており、本格的に治療に専念するそうだ。その間は息子の悠正さんが所長代理を務めることになるが、ゆくゆくは正式に事務所を引き継ぐことになるとのこと。

 私は旧姓の小野坂のまま変わらずに事務員として勤務を続ける。


 昼休み。菊池さんと戸田さんに誘われ、事務所近くの店にランチに出掛けた。

 もちろんそこでの話題は私の結婚について。突然の報告にふたりともとても驚いたそうだ。

 いつから付き合っていたのか。そんな素振りまったくなかったから気が付かなかった。どうして黙っていたのか。どちらがいつ交際を申し込んだのか。などなど、ふたりからの質問攻撃にあった。でも、この結婚の真実は言えないのでなんとかごまかした。

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