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 悠正さんとの生活が始まってもうすぐ二週間が経とうとしている。

 実家にいた頃よりも事務所との距離が近くなったので出勤時間も遅くなり、以前よりものんびりと朝の支度ができるようになったのはうれしい。

 すっかり使い慣れたキッチンで、私はふたり分の朝食の準備を始めた。

 フライパンで目玉焼きを作りお皿に盛ると、ミニトマトやレタスなどのサラダをのせていく。

 そろそろ悠正さんが起きてくる頃だろうか。壁に掛かる時計を確認しつつ朝食の支度を続けてしばらくすると、不意に背後から気配を感じた。なにか大きなものが背中に覆い被さるように抱き着いている。


「おはよう、優月」


 後ろからお腹にぎゅっと腕を回され、耳元で囁くように朝の挨拶をしてきたのは悠正さんだ。

 寝起きのせいかいつもよりも声がかすれているが、それが返ってセクシーに聞こえてドキッとした。


「今日も俺の奥さんはかわいいな」


 そんな言葉のあとで、つむじに軽くちゅっとキスをされた。驚いた私は思わず口から「ひぇっ」とかわいくない声が飛び出てしまう。

 勢いよく後ろを振り返ると、にんまりとした笑顔を浮かべる悠正さんと目が合った。