10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
35章:俺と彼女の物語②(side 大和)

 それから果歩が大きくなるごとになかなか会わなくなった。
 それは果歩だって成長するし、当然と言ったら当然だ。

 気にはしていたけど、順調そうな母子の生活に水を差すつもりはなかった。

 二人は肩を寄せ合うように、ひっそりと、ただ、堅実に生きているように見えた。


 そして俺は俺で、医学部に進学し、家を出て一人暮らしを始めていた。

 果歩と会う機会は減ったが、果歩のことだけは父親からも気にして様子を聞いていたように思う。

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