俺が好きなのは、世界一可愛い君

怜ちゃん

 
今や少し懐かしい気もする記憶の回想が終わった頃、タイミングよくその部屋が見えた。



怜ちゃんの1日過ごしている教室だ。



他の人に知られたくないのも、いつも我先にと教室を飛び出して走るのも……
他の人に怜ちゃんを見せてやりたくない、早く会いたいといった一心で、なんの面白味もない理由なのだ。



少し緊張して、でもそれを悟られないように、ゆっくりと扉をあける。



ガラガラと小気味良い音を立てるそれは、なかにいるのが怜ちゃんだと知っているからこそ、いつかを彷彿とさせる。



穏やかな気持ちで教室へと足を踏み入れると、そこにはいつもと変わらぬ怜ちゃんがいる。



喘息持ちで、体も弱く、しょっちゅう病気をする怜ちゃんは、いつも暖かそうな格好をしている。



可愛い。



「楓くん!!」

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