40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
第1章 人生最後のデートだと思っていたのに

戸惑い

初デートをするならどこへ行くか?
そんな妄想をしていた時期が、かつて私にもあった。
だけど、デートというものを教えてくれる情報源に出てくるのは、いつも美男美女ばかり。
すっと細くて、すらっと手足が長く伸びて、肌はしっとりつやつやで、髪の毛もサラサラ。
そういう人達は、第三者視点で見て、画として成立する。

つまり。
足は短くて、肌は脂っこくて、髪は癖っ毛。
そして何より体重がもうすぐ90キロいくような私にとって、デートというものは現実ではない。
脳内で妄想して楽しむべきもの。

そんな風に諦めてしまったのは、もう10年も前……30歳を迎える、少し前。
友人達が婚活を本格的に始めると同時に、私はそういったレースから降りた。

……違う……逃げたのだ……。

毎回向けられる視線が、言葉に傷つくのに、もう疲れたのだ。
いっそ、私なりの、それなりの人生を楽しもう。
そう、割り切ったつもりになっていた。
それなのに、何故、40歳という年齢になる私に

「俺は、あなたのことを、守りたいと思っています。俺の恋人になってください」

と伝えてくれる男性が現れたのだろう?

これは、夢?
それとも……罠?

「お願いだ。答えを、聞かせてくれないか?」

何をどうすれば正解なのか、わからない。
もしも、こんな幸せな申し出を、私なんかが受けてしまったら……罰として何か悪い事が降りかかるのではないだろうか……?

今すぐ誰かに聞きたい。
教えて欲しい。

……話は、数ヶ月前に遡る……。
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