愛してしまったので離婚してください
まだニューヨークにいる雅から私の状況を聞いて、父がこのチームを集めて声をかけてくれたことを私は今になって知った。

幼いころからほとんど家にいなかった両親。忙しくて学校の行事も不参加だったこともある。
周りの人からは病院の娘だと言って、常に距離をとられていた。

でも・・・思い返せば私が風邪をひいたとき、両親はそばにいられるようにと私を病院の特別室に入院させて、父が看病をしてくれた。どうにかして風邪をひけないかと研究したこともある。
忘れてた・・・いつの間にか・・・すべてがあたりまえのことに思えて、運命だと自分に理由をつけてあきらめるようになっていたから・・・。

「俺だけじゃない。産婦人科の渡瀬先生も、内科の武田先生も、麻酔科医の日向先生も、チームのみんなで判断したことを、晶にこれから言ってもいいか?」
そう言って雅は私の手をギュッと握った。

私は、雅に頷いた。
「手術をして、腫瘍をとる必要がある。」

雅の言葉に、私はすべての神経を集中させた。
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