愛してしまったので離婚してください
私の実家は大きな個人経営の病院。
もちろん外科もある。
救急医療にも力を注ぐ病院で最先端の治療も受けられるという謳い文句を掲げている。

私は一人娘で、父は私に病院を継ぐことは無理だとはなから決めていた。
幼いころから力のある医師と結婚をして病院を継ぐ婿をもらうことを、子守歌のように聞かされていた。

だから、大学を卒業して間もない頃に父から雅とのお見合いの話をされたときは、それが自分の運命なのだろうと当たり前のように受け入れられた。

雅とのお見合いはたった3回会っただけ。
4回目に会うときは私たちが結婚式をするその日だった。

雅の両親は幼くして亡くなっていて、雅は祖父母に育てられたらしく、結婚式にはかなり高齢の祖父母が来席していた。
出会って4回目のその日に、私たちは結婚式をして、その日に入籍をした。
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