地の国にも、人の国と等しく季節が存在する。

 現在の季節は、夏。

 不快感を増幅させる、耳をつんざくようなセミの鳴き声が聞こえないのは幸いだが、暑さばかりはどうにもならない。

「暑いですぅ……暑さもセミみたいにお菓子にして食べちゃえたらいいのにぃ」

 キッチンの作業台は、石製でひんやりしている。

 台の上に頰を押し当てながら、レティは今にも蕩けそうになっていた。

「さすがにそれは……無理よ」

 なんでも食べるベルだけれど、さすがに暑さを食べることはできない。

 胸元を寛げてパタパタ、長いスカートの裾をたくし上げて、こっちはバサバサ。

 姫らしからぬ所業に、魔王城だったら大目玉を食らうところだ。