鎖につながれた番犬が侵入者に向かって吠えかかるがごとく、熟したカボチャが襲いかかってくる。

 ベルは鼻歌を歌いながら、蔦を切ってはたたき、蔦を切ってはたたき、と繰り返していった。

「こんなものかしら」

 静かになった畑の真ん中で、額に浮かんだ汗を拭いながら「ふぅ」と息を吐く。

 その表情は晴ればれとしていて、とても満足そうだ。

 魔王城では侍女に囲まれて、なおかつ畑には専属の畑師がいたから、ベル自身が作業することはなかった。

 汗と土に塗れた姿は、姫として褒められたものではないけれど、これが本来の自分の在り方だったのではないかと思えてくるから不思議だ。

「清々しい気分だわ」