心ここに在らずといった様子で答えたベルに、ルシフェルは「おや」と片眉を上げた。

 視線をベルから湖へと移しながら、足を止める。

 ゴミ溜めの森(ホーディング・フォレスト)は、その名に不釣り合いなくらいきれいな場所だ。

 森を包囲する瘴気(しょうき)が他に類を見ないくらい濃度が高いのは、これを隠すためなのではないかと疑念を抱くほどに。

「ここまで綺麗だと、地の国の生き物は逆に生きづらそうだ」

 実際に、湖の周辺は地の国では見たことがない植物ばかり生えている。

 おそらく、空の穴から落ちてきた種子が、ここで芽吹いたのだろう。

 地の国の植物より人の国や天の国にある植物が優勢であることが、ルシフェルには何よりの証拠であるように思えてならない。