ベルが兄のルシフェルと久々に顔を合わせた、その日の夕方。
ケイトが目を覚ますと、部屋の窓が開いていた。
晩秋の冷ややかな空気が、部屋の中へ流れ込んでいた。
寒気を覚えてブルリと体が震える。ケイトは毛布を抱き込んだ。
見ると、開け放った窓枠に座った女性が、外を眺めていた。
彼女の視線を探るようにその先へ目を向けてみると、もう見慣れてしまった、おどろおどろしい空が窓の向こうに広がっている。
月は冬に近づくほどに白くなっていくそうで、今は淡いピンク色をしていた。
まるで高名な画家が描いたすばらしい絵画のようだと、ケイトは思う。