小走りでテーブルへ向かったベルのあとを、ケイトはゆったりとした足取りで追いかけた。
胸の高鳴りは、一歩進むごとに落ち着いていく。
追いついた先で彼女は、感嘆の息を吐きながらテーブルの上を見つめていた。
振り返った目は期待にキラキラと輝いていて、ケイトに説明を求めている。
「愛らしいなぁ」と彼女には聞こえないようにつぶやいて、ケイトはテーブルの上を案内するように手で指し示した。
「右から、イカの刺身、イカと野菜の酢の物、サトイモとイカの煮物、イカのリングフライにイカの酒蒸し、そしてイカのガーリックバター炒めとなっております」
給仕を気取って丁寧に説明すれば、ベルは楽しげな笑い声を上げる。
「ほあぁ……!」