「まだかしら……?」
落ち着きなくリビングの窓から外をのぞくのは、これでもう何度目だろうか。
まだだとわかっていても、つい見に行ってしまう。
揺れる枝の音が、風に吹かれる枯れ葉の音が、レティの帰宅を告げているように思えてならない。
だからベルは、「もしかして……?」と見に行ってしまうのだ。
待つことしかできない時間は、ひどく長く感じる。
またすぐに見に行かないように、予防線を張るかのように、ベルはそっとカーテンを引いた。
レティを魔王城へ送り込んで、そろそろ一日が経つ。
転移魔法で送って、そこからすぐに行動するとして、彼女の力量と頼み事の内容などを鑑みると、最低でも数時間はかかる。
さらに帰りはレティが自力で帰ってこなくてはいけないので、どう頑張っても一日くらいはかかりそうだった。