きっと父は、わかっていてベルをここへ追放したのだろう。
(ゴミ溜めの森に興味があるのは、なにも私だけではないということね)
この娘にして、この父あり。
そんな言葉が、脳裏を過ぎる。
(珍味を一つ二つ献上すれば、追放処分は解いてもらえそう)
だがそれよりも前に、兄のルシフェルが痺れを切らして迎えにくるかもしれない。
彼はベルのことをいたくかわいがってくれていて、城を出る際にはもう、追放撤回に向けて動き出している様子だった。
(お兄様が迎えにくるのが先か、お父様に献上したくなるような珍味を見つけるのが先か……どちらにしても、ゆっくりはしていられないわ)