置いていかないで。どうか、助けて──と、ベルが追い(すが)るとでも思っているのだろうか。

 荷物を下ろすやいなや、あっという間に走り去ってしまった馬車に、ベルとレティは顔を見合わせた。

 はたから見れば追放だけど、ベルとしては栄転に近い。

 他のきょうだいたちと違い、はなから魔王の座など狙ってもいないので、なおさらである。

 急におかしさが込み上げてきて、二人は顔を合わせてクスクスと笑んだ。

「さて、まずは……」

 とりあえず荷物をひとまとめに置いたベルとレティは、気合いを入れるように腕まくりをした後、顔を突き合わせてよしと頷き合った。