数日が経った。
今日は人の国からやって来た使者──もとい勇者救出隊が人の国へ転送される日だ。
正体を明かすにしても秘することにしても、危険を冒してまで迎えに来てくれた仲間なのだから、せめて見送りくらいはして来なさい。
ベルはそう言って、朝早くにケイトを送り出した。
帰りは、ルシフェルにでも頼めばいい。
きっと彼なら、すぐにでもケイトをベルのもとへ送ってくれるだろう。
(ケイオン様とボルグ様と会っていた時に現れたのも、お兄様の仕業だったと言うのだから、これくらいはしてくれてもいいと思うわ)
聞けばあの日、ケイトはルシフェルに脅されたらしい。