これは、まずい。とってもまずい。

 ベルの背中に冷や汗が伝っていく。

非常事態(ヒジョージタイ)よ。たすけて、おにいさま」

 真っ先にルシフェルの顔が浮かぶのは、今まで助けてもらってきた実績があるからだろう。

 ベルは改めて、彼の過剰な愛情を思い知った。

「って、今はそれどころじゃない!」

 ベルの叫びを聞きつけて、レティの足音が近づいてきていた。

 彼女が小心者だったことに感謝だ。おかげで、少しだけ考える時間ができた。

「ああ、どうしたらいいの」

 ベルはとても困っていた。

 人生でこれほどまでに困ったことがあっただろうか。