彼女の温もりが離れ、それを残念だと思うことは、いけないことだろうか。
幼女趣味はないと断言できるものの、不可解な感情に戸惑う。
けれどケイトは、拾われてからの五日間、夢うつつに彼女が熱心に看病してくれたことを覚えていた。
慣れない手つきで、それでも一生懸命面倒を見てくれた彼女のことを、どうして嫌いになれるだろう。
(無理に決まっている!)
だって彼女は、ケイトの初めての人なのだ。恩人なのだ。
感謝し、好きになることはあっても、嫌いになることなどあり得ない。
無病息災の神に祝福されているケイトは、生まれてこの方、病気ひとつしたことがなかった。
けがをしてもすぐに治り、たとえ死にかけても、実際に死んでさえいなければ復活する。
そんな超人的な肉体を持つ彼は、誰かに看病されたことも、体を心配されたことも、一度だってなかった。