2章・めざせ転移門~異世界令嬢は神隠しに会う。

マイケル、異世界巡礼

異世界から
大師によって調整国に飛ばされた
マイケルは

「じゃ、稼いだウーリで、巡礼者
ベッドってやつ借りれる?」

自ら海底遺構の海に潜り
得たデッドツリーコーラルの
換金で、
ようやく島の通貨を手に
したのだ。

「おい!ルル!客だ!ベッドに
案内しろ!マイケルっつたか?
あっちのカウンター行け。
頭2つに括った奴が案内する」

片眼鏡に髭の男、レサが
マイケルに顎をしゃくって
示すと、
奥の机で手を振る
ツインテールの女子が見えた。

言われた通りに
カウンターへ向かうと
屈託ない笑顔の2つに髪を括った
ソバカス顔の
少女がいる。

「あなた達、すごいねー。
さっきのコーラル?
びっくりしたよー。 あ、
ルルですー。巡礼者さんの
お世話係。あなた、いくつ?
成人してすぐなら同年よねー」

そう言って
ルルがマイケル達に歩きながら
説明をするのは
巡礼者のベッドがある
別棟だと言う。

ルルによると
この世界にも聖地巡礼があり、
ウーリウ藩島に渡る
他国の巡礼者が多いと
マイケルにもわかった。

カフカス王領国の関所島として
ウーリウ藩島がある。
その理由は、
ウーリウ藩島の特異な現象。

容易にカフカス王領国に
渡る事が
出来ない
土地的な理由があり、
殆どの巡礼者は
このウーリウ藩島に滞在せざるを
得ない事から、
巡礼者を広く受け入れる
制度が
ギルドには出来たらしい。

「そのせいかもですけどー、
島には、たくさん聖場が
ありますよー。巡礼の人は、
島で次の橋が通れるまで、
その聖場を周りながら待つん
ですよー。まあ、その間に?
ウーリを稼ぎながらっていう
人も多いんで、ギルドは巡礼者
対応の求人もしてるってわけ」

巡礼者用の別棟は
驚く事に洞窟の中にあった。

「なに、カッパドキアみたい。」

マイケルが呟く隣を、
マイケルと似た白装束や、
全く違う形の白装束を
着た旅人達が
出入りをしていく。

ルルが
ツインテールを揺らして

『行ってらっしゃいませー!』

と巡礼者に挨拶をしながら
マイケル達に話を続ける。

「とうぶんねー、
橋はかからないからー。
あーやって皆んな聖場に
行くんだよね。え?なんか
ご利益あるかってー?なに?」

ルルの言葉にマイケルが
反応して、ルルの両手を
ブンブンと振る。

「そ!恋愛とかに御利益ある、
スポットとかあるんじゃない?
あたし、その為にオヘンロして
たんだもん!ね、ある?!」

その勢いに、マイケルに
ここまで付いてきた
マモが

「え、マイケーって、そんなん
で巡礼してるのか?なんだよ」

何故か口を尖らせて、
つまらなさそうに ポケットを
探る。
そこには、マイケルから貰った
ブルーアンバーの換金ウーリも
しっかり入っているのだ。

「ロクブ、、やる。マイケ ーが
もらったウーリじゃ、
ほーのーするのに、大きいし」

そう言って
マモが穴の空いた小さな
ウーリ硬貨をマイケルに
突き出す。

「ロクブ!マイケーしゃん、
ロクブ!ロクブね、あまい玉
ゆびだけもらえるの!ロクブ!」

マモと同じく着いてきた
ヤオが、マモの出した穴空き硬貨
を見て、目をキラキラさせる。

「ロクブが2つあると、あまい玉
が10個買えるってことかな?
という事は、2ロクブが1ドル
ぐらいね。ヤオ、ありがと。」

マイケルがヤオの
クリンクリンする巻き毛を
撫でていると

「なんだよ!ロクブはおれんの
だぞ!ヤオばっかずるいな。」

マモが拗ねると、
ヤオが代わりに
マモを、なでなでしている。

「あははー、マモ、あんたー
そろそろ、おとっさん。仕事
あがるよー。ついでにさ、
ヤオを家におくっておあげー」

ルルがマモの手から
ロクブウーリをマイケルに渡して
笑いながらマモの肩を、叩く。

「マモのお父さんって、ギルドで
働いてるんだ。どおりで、マモ
がギルドの事、良くしってる
わけだね!じゃあヤオとこも?」

マイケルが
ルルに何気無く聞くと、
ルルは微妙な顔をして

「マモんとこー、ここの会計で
仕事してるー。ヤオは、まあ。
あ、マイケルは恋愛祈願で、
巡礼してるのー?好きな人ー
いてるとか?恋愛成就てやつ?」

なら、このロクブウーリ持って
行って。良いとこあるよと、
地図を出す。

「うーん、好きな人かあ。
わかんないんだよね、あたし。
子どもの頃から許嫁ってのが
いてて、政略結婚まっしぐら
って なってるからなあ。」

ヤオもマモもマイケルの
言った言葉があまり理解できて
いなさそうな中、
ルルだけが

「えー、やっぱりマイケルって!
貴族なのー?許嫁ーとかさ。」

いいながら、
洞窟を個別に堀抜いてベッドを
石からそのまま掘った
空間に、シーツと上掛けを
ぱぱっと置く。

「ちがうけど、なんで?許嫁って
仰々しいけど、親どうしの勝手
な約束みたいなだけだよ。」

マイケルの狭い洞窟の部屋に
マモとヤオは、珍しげに
はしゃいでいる。

「そー?なんだ。ほら、髪とか目
とかで、てっきりさー。なら、
許嫁がきらいだから、絶縁?」

ルルは笑いながら、両手で
バッサリ切るポーズをしてみせる

「嫌いもなにも、顔もしらないん
だよ、あたし。だから、できた
ら自由に恋愛したいって思って
オヘンロしてたんだよね。で、
恋愛おすすめスポットある?」

そんなマイケルに、
ルルはポケットから出した
地図を見せながら、

「ここと、ここと、ここ!いいと
思うよー。メモしといたげる。
でもー、恋愛じゃないけど
最初はギルドに1番近い
『エドウィン窟』が 今の時期は
おすすめー。ねー?マモー?」

ヤオと
すべすべに掘り出されたベッドで
遊んでいたマモが、
ルルに頷く。

「この夏至のときになるさ、
天気のいい ひるに、ほんの
ちょっとだけマラリーアの
神様があらわれるんだぞ。」

すると、
ヤオもマモの隣ではしゃいで

「まかりーかのかみしゃま、
おなか、さわると、ちからが
ふえるのー、マイケーしゃん」

マイケルのお腹をぽてぽてと
撫でる。

「ルル、マラリーアの神様って
お腹をさわると、魔力が増すっ
てってことなの?すごいね!」

そんなヤオを抱き抱えて、
高い高いをしながら
マイケルがルルを見る。

「このウーリウ藩島に巡礼者が
押し寄せる理由の1つがさー
それなんだよねー。魔力を
増やすための旅にくんのー。」

ルルはそう言って
肩をすくめた。

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