ロート・ブルーメ~赤花~

知り合う

 ……。

 …………。


「髪乾かす時間はないから洗うなよ?」

 浴室の外からそんな声が掛けられる。


「時間がないのは紅夜がギリギリまで離してくれなかったからでしょう!?」

 シャワーを浴びながら文句を言うと、紅夜はむしろ笑って「美桜が可愛いのが悪い」なんて返してきた。

「もう!」


 あのあと、我慢できないと言った言葉通りに紅夜はあたしを強く求めてくれた。

 それはいい。

 でも、一度で済ませてくれなかったのは予想外だった。


 しかもレストランを予約していたらしく、余韻に浸る間もなく部屋を出る準備をしなくてはならなくなった。

 レストランなんていつの間に予約していたのかと思ったら、愁一さんからあたしが街に来たという知らせを受けた時点で予約をしていたらしい。


 嬉しいと言えば嬉しいのだけど……。

 どれだけあたしはハラペコだと思われてるんだろう。


 やっぱりあの時お腹が鳴ってしまったのは不覚だった。

 一生悔いるんじゃないかと思ってしまう。


 でも、予約していたことをギリギリになってから言うとか……。

 これはあたし怒っても良いんじゃない?

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