ロート・ブルーメ~赤花~
三章

花畑

 その夜は今まで以上に甘く強く求められ、あたしは上手く応えることも出来ず翻弄された。

 どうしたの? と聞いても、優しく微笑んでキスを落とされるだけ。


 嬉しいのに、どこか物悲しくて……。

 でもそんな事を考えていると、余計な事を考える暇はないだろうって激しく求められる。


 知りたいと思った紅夜の事を知る事が出来ているのに、どうしてか不安が()ぎる。

 その不安を振り払いたくて、あたしも紅夜を求めた……。



 ――そんな夜を過ごした、翌朝。


「……美桜、立てるか?」

「……心配するくらいなら手加減して……」

「それは無理」

「もう……」


 正直言って、腰が痛い。

 むしろ紅夜は何故大丈夫なのか本気で知りたい。


 あたしの体力がある程度回復するまで待っていたら、日は結構高くなっていた。

 朝食は紅夜が作ってくれたトーストとサラダと目玉焼き。

 料理は大して作らないとは言っていたけれど、これだけ作れるなら充分なんじゃないかな?


 というか、あたしごちそうになってばかりじゃない?

 あたしだって作れるのに……。


「なんだ? 渋い顔して、苦手なものでもあったか?」

「ううん」

 聞かれて、首を振る。
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