ロート・ブルーメ~赤花~

黎華街


「ねえ、今日は新しく出来たカフェに行かない?」

 翌日も遊びに誘ってきた日葵に、内心また? と思ってしまう。


 昨日も遊びに行って、今日もなんて。

 テスト前の羽目外しもやり過ぎなんじゃないのかな?


 それに、どちらにしろ今日は一緒には行けない。

 どうしても外せない用事があるんだ。


「誘ってくれてありがとう。でもごめんね、今日はお使いの用事があるんだ」

「お使いって……あの月一(つきいち)の?」

 あたしの断る理由を聞いた日葵が声を(ひそ)めて聞いてくる。


 そうなるのも仕方ないだろう。


 だって、そのお使いとは昼でも危険だと言われている黎華街(れいかがい)に住む叔母さんへの届け物なのだから。


「うん、だからごめんね?」

 もう一度謝るあたしに、日葵は視線をさ迷わせたあと意を決したように口を開いた。


「……ねぇ……それ、あたしもついて行っちゃダメかな?」

「え……?」

 日葵が何を言っているのか分からない。

 ううん、分かってはいるけど理解出来ない。
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