「ご覧になって。あの者が、噂に聞くフローラ・エルメイアでしてよ」

 王立学院の入学パーティの席で。とある令嬢にひそひそと声をかけられたのが、すべての始まりだった。

「孤児のくせに魔力が発現して、男爵家が引き取ったとか……。あー、いやですわ。庶民臭くてかないませんわ」

 忌々しそうに令嬢は首を振る。それでマージェリーは、彼女を――フローラをはじめて見た。

 たしかに全体的に野暮ったい。素材は悪くないが、髪型はおよそ流行からはかけ離れていたし、せっかくの制服もなぜかサイズが合っていない。

 パーティも出たことがないのだろう。料理や飲み物に手もつけず、困ったようにホールの隅で縮こまっている。

 ――その時、突如頭の中に、天啓のように物語の一節が降ってきた。