うちのお嬢様は、どっかズレてる。

 初めて会った時から、アーニャはそんな感想を抱いていた。

 星々の輝きを閉じ込めたような銀の髪に、深遠な海の底のように美しく知的な蒼の瞳。パッと見は文句のつけようもない令嬢で、10歳の時には既に、侯爵令嬢の風格を身につけていた。

 なのに、どっかがおかしい。不思議に思ったのは、まさに出会った瞬間だ。

 宰相ジョルダン・デュ・ノエル自らが捜査に乗り出し、壊滅させた裏路地の犯罪組織。アーニャはかつて、20人ほどいた孤児らと一緒にその下っ端だった。

 宰相が偉かったのは、犯罪組織を解体した後、行き場をなくした孤児らをまとめて面倒見たことだ。ロワーレ城の下働きに雇い入れたり、職人工房に弟子として振り分けたり、下男や侍女見習いとして貴族に紹介したり。

そんな中、彼自身はアーニャを屋敷に雇い入れた。