昇ったばかりの太陽が、朝靄のかかる庭園に光を落とす。うっすらと視界に靄がかかる中、一人の男が庭園を走らされていた。

「いち、に、いち、に、いち、に、いち、に!」

 正確には男ひとりではない。前を先導するのは小さな影。日頃から適度に体を動かすようにしている彼ではあるが、先導者の刻む早いテンポに、額にはうっすら汗がにじむ。

 外に出てすぐは寒いと思ったのに、今では朝靄の冷たさが心地よいとすら感じる。いい加減限界を感じ始めた頃、先導者がぱんと手を打った。

「10周終了! 今日はここまで!」

「はあ……」

 思わず彼は、膝に手を付いて項垂れてしまう。同じペースで走っていた先導者は、まったく息が乱れていないのが悔しい。自分も運動音痴というわけでもないのに、一体()()はどうなっているんだ。