「陛下」

 がしりと、肩が摑まれる。見れば、完全に目が据わった宰相が、ゴゴゴゴとすごい気迫を纏って、ユリウスを見ていた。

「寝不足とはどういう意味でしょう。筋肉痛とはどういうことでしょう。全部マージェリーのせいとは、一体どういうことでしょう??」

(……ん?)

 何か勘違いをさせたか。ユリウスがそう思い至った時、宰相は血走った眼でさらに詰め寄った

「今日という今日ははっきりさせていただきます。さあ、陛下。私の可愛いマージェリーに何をしたんです!?」

「誤解だ、宰相。むしろ私は、彼女のいいなりというか」

「うちの子から陛下に迫ったと!?!?」

「いや、だからそうじゃなくて」

 ちなみにノエル宰相の誤解は、半泣きで執務室を飛び出していった先で(マージェリー)に叱られるまで、解けることはなかったのだった。