王立学院に入学したとき、フローラ・エルメイアの胸は不安でいっぱいだった。

 突然発覚した魔力適性。教会から引き取られて、わずか一月での王立学院入学。

 エルメイア男爵夫妻はとても優しくていい人たちだったけれども、貴族のしきたりのいろはを学ぶには時間がなさすぎた。そんな中での貴族の子女ばかりが集まる王立学院への進学は、フローラにとって試練以外の何物でもなかった。

 入学式が終わってすぐの学院のパーティ。そこでフローラは針のむしろだった。

 突き刺さる視線は好奇と不快の色が半々。どちらにせよフローラは肩身が狭くなるばかり。飲み物や料理にも手を付けられず、目立たないようにと壁際にへばりついていることしかできない。

 それでも貴族の皆様はフローラを放っておいてはくれなくて。

「ご覧になって。あの者が、噂に聞くフローラ・エルメイアでしてよ」