そのうえ彼女は、侯爵令嬢にしては妙に庶民的なところがあった。

「しかも見てください。うちの優秀な侍女が、福引で大通りのお買物券をゲットしましたの。こちらを使えば、新作メロンパンが100マドルお安くなりましてよ!」

「お買物券……? マージェリー様も、そういうのに興味があるんですね」

「当然ですわ! せっかく当てたんですもの。きちんと使わないと損ですわ」

 蒼の瞳をキラキラさせて、得意げにお買物券を見せつけるマージェリー。

 帰りに一緒にパン屋に行きますわよと声を弾ませる彼女の横顔は、気高く近寄りがたい普段の雰囲気からまるで想像ができないもので。

 自分しか知らない彼女の顔がある。そう思うと、どうしようもなくフローラは嬉しかった。




 そんなある日、転機となる出来事が起こった。