転機となったあの日。
昼休みの終わり。移動教室のためにマージェリーを探していたフローラは、中庭でほかの令嬢に囲まれる彼女の姿を偶然見つけた。
そこはかとなく剣呑な雰囲気に、フローラはとっさに木陰に隠れる。こそりと覗くと、難しい表情で耳を傾けるマージェリーに、女子たちは訴えていた。
「おかしいですわ! どうしてマージェリー様が、あんな子に構うのですか?」
あんな子というのが自分のことだと、フローラはすぐに分かった。
メインになって訴えているのは、入学式後のパーティでもフローラの悪口を言っていた伯爵令嬢だ。家柄で付き合う相手を選ぶ節がある生徒で、たびたび周囲と問題を起こしている。
(やっぱり嫌われてるんだなあ)
隠れたまま、フローラは苦笑をする。