だが、現実に魔獣の大群は背後に迫っている。数はもはや数十に及ぶだろうか。狐の形に似た、獰猛な獣たち。口の端から時折火焔がのぞいていることから、例えば木の上に逃げたとしても、炎を吐いて木を燃やしてくるだろう。

 考えられるとしたらユリウス王を狙った襲撃。だが、ユリウスはオオカミ王だ。真の姿を取ったとき、彼の魔力量ならこれしきの魔獣を一掃するのは容易いはず。狙いが彼なら、もっと強力な魔獣を送り込むべきなのに。

(って、ええい! 考えている場合じゃない!)

 アーニャはともかく、フローラはすぐに体に限界がくるはずだ。対人戦では無敵のアーニャだって、これだけの量の魔獣をふたりも背中に庇いながら殲滅するのは難しいだろう。

 このままだと全滅だ。瞬時に判断したマージェリーは、走りながら二人に叫んだ。

「私が魔獣をひきつけます! アーニャはフローラ様と一緒に一時退避! 魔獣をやり過ごしてから陛下たちと合流、ユーリ様に状況を伝えて頂戴!」