発見した時点で相当酔いが回っているとは思ったが、ここまで面倒くさいことになるとは思わなかった。今となっては学院に戻って押し付けてきたいほどだ。

「わかった、わかった。私からうまく言ってやる。だから案ずるな」

 ひらりと手を振り、適当にあしらう。そして彼は、興味を無くして窓の外に視線をやった。

 完璧な淑女、か。学院長の言葉に、ユリウスは眉根を寄せる。

 フローラ・エルメイアのことで話を聞いたとき、学院長が誉めそやしていた令嬢は、目の前の彼女のはずだ。

 慈愛に満ち、常に俯瞰した眼差しを持ち、皆をよりよい方向へと導く女神。

(……コレが女神か?)

 どうも頭の中でうまく像が結びつかない。完璧な淑女どころか、彼女は酔いが回るあまり、目の前で渋面を浮かべる男が誰かもよくわかっていないようだが。