その日は朝から大忙しだった。

 朝一番に湯浴みをすませ、髪をすき、香油を馴染ませる。アーニャを筆頭とする侍女たちにされるがままマージェリーは磨き上げられ、より美しく整えられていく。

 仕上げは化粧とヘアメイクだ。ほかの侍女はすでに下がり、マージェリーの部屋に残るのはアーニャだけ。二人分の息遣いと、髪をとかす微かな音だけが部屋に満ちる。

 普段は下ろしている輝く銀髪を、今日は結い上げる。そうすると、細い首筋やデコルテラインが露わとなり、吸い付きたいほどに魅力的だ。

 首に細いチェーンが揺れ、紫水晶を嵌めたネックレスが胸元に光る。きっと彼は喜んでくれるだろう。白い肌に光る、菫色の星のようだから。

 最後に薄い紅が、リップに乗せられる。生まれながらの美しさを損なわないよう、さりげなく控えめに。

「出来ましたよ」

 アーニャに囁かれ、マージェリーはゆっくりと目を開ける。