初めに感じたのは頭痛だった。次に倦怠感。

 頭も腕も、指先さえも。体のあちこちが痺れて、うまく動かせない。

 不快感に顔をしかめてから、マージェリーは億劫な瞼を開く。直後、じめったい埃の匂いに咳き込んだ。

 ここはどこだろう。薄暗く、空気も悪い。まるで地下室のようだ。ぎりぎり視界が保てているのは、天井近くにある格子付きの小さな窓から光が漏れているから。

 誘拐された。その事実に考えが至った途端、叫び出したくなるのをなんとか堪えた。前にアーニャが言っていた。危機的状況に陥った時、どれだけ正気を保てるかが重要だと。

(落ち着いて。落ち着くのよ、マージェリー。起きたら目の前にユーリ様がいたときの方がびっくりしたでしょう?)

 何度か深呼吸をして、己を宥める。どうにか平常心を取り戻したマージェリーは、改めて周囲を確認した。