オオカミ王を自滅させる。
愉悦に染まった瞳で言い切ったフリード大臣に、マージェリーは目を瞬かせた。
「ユーリ様を自滅させるなんて、そんなのどうやって」
言いかけてハッと息を呑んだ。
そんなの疑問に思うまでもないじゃないか。
小説の中でユリウスはどんな最期を迎えた。強くて孤独な、哀れな王は。
「魔力暴走……」
思わず零れた言葉に、フリードは興味深げに目を見開いた。
「これはこれは。まさかこの国に、その可能性に思い当たる人間がいるだなんて。まったく、あなたには驚かされっぱなしだ」
喜ぶフリードに、マージェリーは目を逸らす。