「……もしや、こういったことは初めてじゃないのか?」

「ふあ!?」

「ふむ、違うか。だとするとわからない。私の提案は至ってまともだぞ。比べて君はどうだ。散々王を振り回し、翻弄し、褥に忍び込んでおきながら、全てをなかったことにしたいと。随分な申し出だな、マージェリー・デュ・ノエル?」

「ふぃのふぃこんだふぇふっふぇ?(し、忍び込んだですって?)」

 目を見開き憤慨したマージェリーは、思わずぱしりと王の手を振り払った。

「お言葉ですが! 陛下はご公務として王立学院の卒業セレモニーに参列されたはずです。自業自得とはいえ、酔って正体をなくした女学生をお持ち帰りとは、陛下こそ随分な振る舞われようかと思いますが?」

 学院の創立以来、代々の王は慣例として卒業式に立ち会ってきた。ユリウスが昨日学院に足を運んでいたのも、そう言った理由である。